この記事では、全世界に投資するVT、全米に投資するVTIの違いを明確にしていきます。
- 国
- セクター
- 銘柄
- チャート(値動き)
私も投資を始めた頃に、
- 「VTとVTIの違いを知りたい。」
- 「全世界と全米はどんな特徴があるんだろう。」
- 「結局、どっちのETFに投資すれば良いの?」
といった疑問を感じていました。
VTとVTIの違いを明確にしていくことで、皆さまの投資戦略の参考にしていただければ幸いです。
記事でお伝えしたいこと
- VTIのほうがパフォーマンスは高い
- VTは全世界に分散できる点が良い
- 投資戦略によって使い分けるのが良い
VTIの3つのメリット
- アメリカに集中投資できる
- アメリカ国内の4100銘柄に分散投資できる
- 高成長のアメリカに投資することで高パフォーマンス
VTの3つのメリット
- 世界49カ国、9350銘柄に投資が可能
- どの国が成長しても恩恵を授かることができる
- リバランス(調整)が不要でお手軽

VT/VTIの徹底比較
ETFヒートマップ


ETFヒートマップではVTIとVTは別々のジャンルに属しています。
VTIはUS INDEX(アメリカの株式指数)に分類され、同じ分類のETFにはVOO(S&P500)、DIA(ダウ30種)、QQQ(ナスダック100)があります。海外ETFの超王道の銘柄ばかりで、実際に投資している人も多いのではないでしょうか。
VTはGLOBAL INDEX(全世界の株式指数)に分類され、同じ分類のETFにはACWI(全世界株式)があります。全米と比較すると全世界株式のETFは規模が小さいことが分かります。
ETFヒートマップについては別記事でまとめています。ETFを網羅的に理解したい人はぜひご覧ください。


概要比較(VT/VTI)
銘柄名 | 名称 |
---|---|
VT | バンガード・トータル・ワールド・ストックETF |
VTI | バンガード・トータル・ストック・マーケットETF |
どちらも「トータル」というワードが入っている通り、非常に多くの銘柄をカバーしているETFです。



項目 | VT | VTI |
---|---|---|
運用会社 | バンガード | バンガード |
組入銘柄数 | 9,350 | 4,136 |
運用資産総額 | 341億ドル | 1兆3000億ドル |
配当利回り | 1.65% | 1.26% |
経費率 | 0.07% | 0.03% |
配当-経費(率) | 1.58% | 1.23% |
配当スケジュール | 年4回 | 年4回 |
組み入れ銘柄は全世界に投資しているVTが9350銘柄、VTIが4136銘柄となります。1つのETFで全世界の9000社以上に投資できることは本当に手軽ですね。
運用資産総額ではVTが341億ドル、VTIが1兆3000億ドルとなっています。ETFにヒートマップでも確認したように、運用資産総額ではVTIの圧勝です。「運用資産総額=ETFの良さ」ではないので、後ほど細かく比較をしてみましょう。
(配当利回り-経費率)ではVTが1.58%、VTIは1.23%です。配当利回りではVTが優れており、経費率ではVTIが優れている結果となりました。



投資国比率(VT/VTI)


国名 | VT | VTI |
---|---|---|
アメリカ | 57.1% | 100.0% |
日本 | 7.0% | 0.0% |
中国 | 4.5% | 0.0% |
イギリス | 4.1% | 0.0% |
カナダ | 2.7% | 0.0% |
フランス | 2.6% | 0.0% |
ドイツ | 2.4% | 0.0% |
スイス | 2.3% | 0.0% |
オーストラリア | 2.0% | 0.0% |
台湾 | 2.0% | 0.0% |
韓国 | 1.8% | 0.0% |
インド | 1.3% | 0.0% |
ニュージーランド | 1.1% | 0.0% |
スウェーデン | 1.1% | 0.0% |
香港 | 0.9% | 0.0% |
イタリア | 0.7% | 0.0% |
スペイン | 0.6% | 0.0% |
デンマーク | 0.6% | 0.0% |
ブラジル | 0.6% | 0.0% |
南アフリカ | 0.5% | 0.0% |
その他 | 4.2% | 0.0% |
ETFの投資銘柄の国別比率を見ていきます。
VTIはアメリカに100%投資しているETFであるのに対し、VTは49カ国に投資されています。VTの国別比率を見ていくと、57%がアメリカへ投資されており、次いで日本7.0%、中国4.5%、イギリス4.1%に投資されています。



投資セクター比率(VT/VTI)


セクター | VT | VTI |
---|---|---|
情報技術 | 21.1% | 25.5% |
一般消費財 | 15.8% | 16.4% |
金融 | 14.4% | 11.9% |
資本財 | 14.2% | 14.2% |
ヘルスケア | 11.0% | 13.1% |
生活必需品 | 6.0% | 5.0% |
素材 | 4.4% | 2.2% |
エネルギー | 3.6% | 2.8% |
不動産 | 3.5% | 3.4% |
公共事業 | 3.0% | 2.9% |
通信サービス | 3.0% | 2.6% |
投資セクターを見ていきましょう!
アメリカはApple、マイクロソフトといった超巨大なハイテク企業があるため、VTIは情報技術セクターが25%と高い傾向があります。全世界のVTでも情報技術セクターが21.1%と高いことは意外ですね。
投資セクターの差が小さい理由は、VTの57%がアメリカだということです。20~30年後にアメリカ以外の国が成長した際、セクターの違いが出てくるのではないでしょうか。



投資銘柄(VT/VTI)
企業名(英語) | ティッカー | VT | VTI |
---|---|---|---|
Apple Inc. | AAPL | 2.81% | 4.58% |
Microsoft Corp. | MSFT | 2.55% | 4.38% |
Amazon.com Inc. | AMZN | 1.98% | 3.42% |
Facebook Inc. | FB | 1.05% | 1.80% |
Alphabet Inc. | GOOGL | 0.96% | 1.63% |
Alphabet Inc. | GOOG | 0.94% | 1.55% |
Tesla Inc. | TSLA | 0.73% | 1.26% |
Tencent Holdings Ltd. | 700 | 0.64% | 0.00% |
JPMorgan Chase & Co. | JPM | 0.63% | 1.08% |
Johnson & Johnson | JNJ | 0.58% | 0.99% |
Alibaba Group Holding Ltd. | 9988 | 0.55% | 0.00% |
Berkshire Hathaway Inc. | BRK.B | 0.55% | 1.13% |
Visa Inc. | V | 0.53% | 0.91% |
UnitedHealth Group Inc. | UNH | 0.51% | 0.87% |
NVIDIA Corp. | NVDA | 0.48% | 0.81% |
Taiwan Semiconductor Manufacturing Co. Ltd. | 2330 | 0.47% | 0.00% |
Home Depot Inc. | HD | 0.47% | 0.80% |
Mastercard Inc. | MA | 0.45% | 0.78% |
Walt Disney Co. | DIS | 0.45% | 0.78% |
Nestle SA | NESN | 0.45% | 0.00% |
Procter & Gamble Co. | PG | 0.44% | 0.76% |
Bank of America Corp. | BAC | 0.42% | 0.73% |
PayPal Holdings Inc. | PYPL | 0.42% | 0.71% |
ASML Holding NV | ASML | 0.35% | 0.00% |
Comcast Corp. | CMCSA | 0.34% | 0.59% |
Adobe Inc. | ADBE | 0.33% | 0.56% |
Exxon Mobil Corp. | XOM | 0.33% | 0.56% |
Verizon Communications Inc. | VZ | 0.32% | 0.52% |
Intel Corp. | INTC | 0.32% | 0.54% |
AT&T Inc. | T | 0.30% | 0.52% |
具体的な投資銘柄を見ていきましょう!
VTの上位30銘柄のうち、VTIが投資できていない銘柄は、テンセント/アリババ/台湾セミコンダクター/ネスレ/ASMLホールディングスの5社でした。日本では最も時価総額が大きな会社のトヨタ自動車にも、VTでは上位46番目に投資されています。
VTIではアメリカ限定で投資されているため、アップル/マイクロソフト/アマゾン/グーグル/フェイスブックといった強力な銘柄に集中投資することができます。逆に、アメリカ以外の国で超有力な企業が現れた際、VTIではカバーが出来ません。



チャート比較(VTとVTI)
【チャート比較】VTとVTI


2008年から2021年のチャートを比較してみました。
VTIは+239%、VTは+107%とパフォーマンスの差は明確です。VTIは13年で3倍以上に成長していることを考えると非常に高いパフォーマンスですね。



【チャート比較】VT/VTI/VWO/VEA


VTの57%はアメリカですが、その他の43%の地域のパフォーマンスを比べてみましょう。VWO(新興国)、VEA(アメリカ以外の先進国)の2つのETFを見ると、+20%前後のパフォーマンスです。現段階ではアメリカが世界最大の経済大国であるため、その他の地域のパフォーマンスが劣ってしまいます。
私は現段階、あるいは一部の期間のパフォーマンスだけを切り取って判断することをオススメしません。例えば、現段階では「パフォーマンスが高いからVTIで良い」と判断することもできますが、2005年~2013年の期間を見るとVWO(新興国)がVTIよりも高いパフォーマンスを発揮していました。





【チャート比較】VTとVTIとGLDとTLT


VTであれば、世界49カ国、9000銘柄以上に投資することができます。VTを活用したとしても、株式オンリーの資産配分では金融リスクの際に資産額が下落してしまいます。株式と異なる債券・金といった資産へ投資することで、資産額の下落を抑えることができます。
例えば、2008年のリーマンショック、2020年のコロナショックといった金融危機が起きた際、株式は20%以上も下落しました。株式が大きく下落したタイミングで、債券・金は上昇しています。
株式・債券・金に分散投資を行えば、10年に1度のリスクにも備えることができます。分散投資の方法については、高橋ダンさんの長期ポートフォリオ戦略を参考にしています。


チャート比較まとめ
- パフォーマンスが高いのはVTI
- アメリカ以外の地域がパフォーマンスが高い時期もある
- 資産の変動を抑えるためにはVT+債券+金が必要
まとめ:VTとVTIを投資戦略に落とし込む
VTとVTIの情報、チャートを比較してきたことを投資戦略に落とし込みます。投資戦略を考えていく前に、メリットとデメリットを振り返ってみます。
VTIのメリット/デメリット
- VTIのメリット
-
- アメリカに集中投資できる
- アメリカ国内の3700銘柄に分散投資できる
- 高成長のアメリカに投資することで高パフォーマンス
- VTIのデメリット
-
- アメリカ以外の国の成長をカバーできない
- 2005~2013年は新興国よりも低いパフォーマンス
- アメリカ企業が進出できていない国がある


VTのメリット/デメリット
- VTのメリット
-
- 世界49カ国、9000銘柄に投資が可能
- どの国が成長しても恩恵を授かることができる
- リバランス(調整)が不要でお手軽
- VTのデメリット
-
- 現状はVTIよりもパフォーマンスは劣る
- パフォーマンスが低い地域にも投資してしまう
- 地域によって投資割合の意思入れができない
投資戦略に落とし込む
私は「VTIだけに投資をすることは一種の集中投資である」と考えます。アメリカ一国に投資をすることは「アメリカ以外の国は成長しないことに賭けている」ことと同義です。私はパフォーマンスを少し犠牲にしてでも、アメリカ以外の先進国や新興国をカバーすることを支持します。
現段階ではアメリカのパフォーマンスが圧倒的に高いため、ポートフォリオの中心はアメリカ株に担ってもらいます。アメリカ株以外の国が台頭してくる未来のために、アメリカ以外の先進国・新興国の株にも投資していきたいです。
VTは非常にオススメなETFです。1つのETFで世界をカバーすることができ、どの国が成長したとしてもリバランスする必要がありません。VTであればSBI証券・楽天証券・マネックス証券の買付手数料が無料のため、買付時のコストが発生しませんし、リバランスの手間が不要です。
VTはVTI+VEA+VWOの組み合わせでも再現できます。VEAとVWOはでは買付手数料が発生するため、買付時やリバランス時に0.45%のコストがかかります。「新興国の割合を増やしたい!」「アメリカ以外の先進国はいらない」といった意思入れをしたい方は、VTI/VEA/VWOを使ってアレンジができます。





以上、VTとVTIを比較してみました。
皆さまの投資戦略のお役に立てれば幸いです。
本記事が「役に立った!」「面白かった!」という方はブログランキングの応援をお願いします。
ツイッターもやっているので、良ければフォローをお願いします。
コメント