▼本記事の内容
1.コアサテライト戦略とは?
2.資産クラスと銘柄には役割がある
3.攻めと守りのバランス

▼本記事の大まかな結論
まずは、大まかな結論からご説明します!
コア・サテライト戦略は、資産形成を行ううえで有効な戦略の1つです。特に、価格変動により資産暴落や精神的な不安を抱えたくない方に向いています。
資産拡大は目標の1つですが、目標に到達するまでに挫折してしまうことのないよう、資産を守る戦略も取り入れていきたいですね!
▼1.コアサテライト戦略とは?
コアサテライト戦略について説明します。
↓コアサテライト戦略のイメージです。


コアサテライト戦略とは、投資をコア部分とサテライト部分の2つに分けて投資する戦略となります。
コア部分には資産の変動が少ない守備的な銘柄に投資を行い、サテライト部分には資産の変動が大きな攻撃的な銘柄に投資します。
コア部分は6割~8割の割合で投資を行い、サテライト部分は2~4割の割合で投資を行います。守備的なコア部分が多ければ多い程、資産全体の変動は少なくなり、資産額の暴落を防ぐことが出来ます。
この割合はあくまで目安なので、個人によって割合を検討する必要があります。例えば、大きなリスクを許容できる人は「コア部分の割合を抑え、サテライト部分を大きく取る」事が出来ます。一方で、リスクを許容できない人は「コア部分の割合を大きくし、資産額の変動を低くする」事をオススメします。
▼2.資産クラス、銘柄には役割がある
次に、なぜコア部分とサテライト部分に分ける必要があるのか考えてみます。
コア部分と複数のサテライト部分に分けて投資を行う事で、資産全体の攻守のバランスが良くなります。価格上昇を狙いつつ、資産暴落を防ぐ、といったバランスが取ることが出来るのはコアサテライト戦略の良い点です。
資産クラス、銘柄には役割があります。資産クラスとは、株式・債券・金・不動産といった分類です。銘柄とは、株式で言えばVTIやVOO、QQQといった具体的な銘柄のことです。
資産クラスの役割とは?
資産クラスの役割は以下の通りです。
・株式は資産拡大を行うオフェンス的な役割
・債券は資産価値の暴落を防ぐディフェンス的な役割
・金は株式/債券と違った値動きをする保険(ヘッジ)的な役割
株式、債券、金に投資を行った場合、それぞれが資産に与えてくれる影響は多種多様です。
株式は「価格変動は大きいが、長期的には最も価格上昇効果が高い」といった特徴があります。一方で、債券は「価格上昇の効果は小さいが、価格が変動しにくい」といった特徴があります。
資産クラスごとに比較することは出来るが、見る側面によって評価は変わります。価格上昇の評価では株式は有利で、価格暴落のリスクでは株式は劣ります。
資産クラスの価格推移を見てみます。


赤…株式(S&P500に投資するVOO)
緑…債券(アメリカの債券に投資するBND)
黄…金(金に投資するGLD)
価格上昇だけ見れば、「株式が一番イイ!」となります。
新型コロナの市場暴落時の下落率だけ見れば、「債券が安心だ!」となります。
債券と株価と違った値動きをする観点で見ると、「金もイイよね!」となります。
このように、異なる資産クラスにおいては、横並びの評価を行うよりも、資産クラスごとの特徴を活かした投資戦略を組み立てる事が必要です。
銘柄の役割とは?
資産クラスに役割があるように、銘柄にも役割があります。オフェンス的、ディフェンス的、ヘッジ的といった役割です。
銘柄というのは、具体的な投資先のことを指します。株式でいうと、VTI/VOO/ICLN/QQQといったETFや、個別銘柄の事です。
株式の銘柄の役割は?
株式の銘柄を比較してみましょう。


青…クリーンエネルギーETF(ICLN)
赤…S&P500に投資するVOO
緑…生活必需品セクターに投資するVDC
先ほどの資産クラスの比較では、価格上昇で秀でていたVOOですが、クリーンエネルギーETFと比較すると価格上昇率は大きく劣っています。
株式の中にも、生活必需品セクターといった市場や金利の影響を受けにくい業種は価格変動率が低くなっています。
資産クラスでは、株式は「資産をガンガン拡大していくゼ!」という攻撃的な役割を担っていました。株式の具体的な銘柄でもオフェンス、ディフェンス、ヘッジの役割を担っているということです。
債券ETFの比較もしてみましょう。


赤…アメリカ長期国債(TLT)
緑…物価連動債(TIP)
青…アメリカ総合債券(BND)
債券自体はリスクが低い資産クラスですが、債券の中にはハイリスクな長期債券もあります。長期国債のTLTは「これ、債券なの?」という程、大きな値動きをしていますね。
▼3.攻めと守りのバランス
コアサテライト戦略は、コア8割、サテライト2割というのが一般的な割合です。
8割を割いているコア部分が「変動率が低い資産」という事もあり、戦略自体は守り8割・攻め2割という方針になっています。「コア部分で資産の安定化を目指しつつ、サテライト部分で小さくリスクを取って成長しよう」という方針となっています。
コア部分の具体的な銘柄
コア部分の銘柄としては、「中長期で価格上昇が望めて、かつ下落率も低い」資産が良いと思います。
▼アメリカ1国の成長を期待する方
VTI(全米)、VOO(S&P500)といったETFをオススメします。この2つのETFは投資銘柄数も多く、過去を見ると長期で成長してきたETFでもあります。
▼世界全体の成長を期待する方
VT(全世界)に投資することをオススメします。このETFに投資すれば、世界中の8000社以上に投資することが出来ます。VTに投資をしても50%以上はアメリカなので、アメリカの成長の恩恵を受けることができます。
↓アメリカか、全世界か、迷われている方は過去の記事をご参照ください。


▼コア部分の銘柄は複数でもOK
コア部分は複数銘柄でもOKだと考えています。例えば、VTI(全米)とVYM(全米高配当)でコア部分を構成しても良いと思います。VYMは400社以上に投資しており、特定のセクターに集中投資をしていないため、コア部分に置いても良さそうです。
↓VTIとVYMの比率は過去の記事をご参照ください。





サテライト部分の具体的な銘柄
サテライト部分の銘柄としては、「短・中期で大きな価格上昇が狙えるが、価格下落の可能性もある」資産が良いと思います。
サテライト部分は思いっきりフルスイングする勢いの銘柄を買っていきましょう。資産額の守備はコア部分の銘柄や、コアサテライト戦略以外の債券/金/現金に担ってもらいます。
▼3~5つのサテライトを用意する
コア部分が8割だとしたら、残りの2割のサテライト部分を3~5つのサテライトを用意しましょう。サテライトの数を3つ、5つと増やす事で、どれか1つが大きく減少してしまったとしても、全体の資産額への影響度は4~7%程度になります。
▼ハイパーグロースの個別銘柄群
テスラ、ズームビデオ、ロクといった業績が毎年+40~50%以上伸びている銘柄達です。これらの個別銘柄は、期待と人気が大きく、1日の株価変動が5~10%と非常にハイリスクです。


青…テスラ
赤…ロク
緑…ズームビデオ
黄…S&P500(VOO)
S&P500も年率10%の成長が期待できますが、比べ物にならないくらいの価格上昇を見せています。個別銘柄は会社の業績だけではなく、競合他社の出現、米国債金利といった様々な外部要因から影響を受けます。



▼テーマETF
ETFであっても、テーマETFはハイリスク・ハイリターンです。


青…クリーンエネルギーETF(ICLN)
黄…ゲーム、eスポーツETF(HERO)
赤…フィンテックETF(FINX)
緑…クラウドコンピューティングETF(CLOU)
灰…S&P500ETF(VOO)
「これからはクリーンエネルギーの推進が進むから、ICLNは伸びる!!」と思っても、ハイリスク&ハイリターンなので、なかなか手が出ないのがテーマETFです。テーマETFもサテライトの1つに組み込むことで、全滅したとしても5%程の影響で済みます。
▼まとめ
コアサテライト戦略はコア部分とサテライト部分に分ける戦略です。
コア部分は長期・積み立て・分散に適しているS&P500といった銘柄が適していました。サテライト部分はハイパーグロース株、テーマETFといった超ハイリスク・超ハイリターンの銘柄が見込める銘柄が適しています。
コア部分で資産の守備を固めたからこそ、サテライト部分でフルスイングができます。
コアとサテライトの割合、それぞれ何に投資を行うのか、は特に決まりはありません。攻守のバランスを取りながら、思いっきりフルスイングしていきましょ~。
ではでは~。
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