海外ETFに投資をしている方で、

「SOXLとは?」
「SOXLの構成銘柄は?」
「SOXLのメリット、デメリットは?」
という疑問を持たれる方も多いと思います。
この記事では疑問を解決するために、SOXLの構成銘柄、チャート推移、買い時の3点をご説明していきます。
この記事を読んだことにより、ご自身の資産運用に活かしていただけると幸いです。
記事の結論
- SOXLは成長性が高い半導体セクターに集中投資できるETF
- SOXLは3倍レバレッジのため、値動きが激しいETF
- SOXLは他のETFと合わせて投資することをオススメします。
SOXLとは?


SOXLの構成銘柄、チャート推移を見る前に、まずはSOXLの基本情報を見ていきます。
SOXLの正式名称は”Direxion Daily Semiconductors Bull 3x Shares”であり、Direxion Investmentsが運用するレバレッジ型ETFで、ICE半導体指数をベンチマークにしています。
項目 | 内容 |
---|---|
運用総額 | Direxion Investments |
ベンチマーク | ICE半導体指数 |
純資産総額 | 57.4億ドル |
株価 | 30.69ドル |
配当利回り | 0.04% |
経費率 | 0.95% |
レバレッジ比率 | 3倍 |
※作成日:2022年3月12日
基本情報のまとめ
- ベンチマークはICE半導体指数
- レバレッジ比率は3倍
- 経費率>配当利回り



ICE半導体指数、レバレッジ比率については後ほど説明します。



わかりました!
それにしても、配当利回りよりも経費率のほうが高いのか~



つまり、株価が上がらなければ、経費分がマイナスになります。
ICE半導体指数とは?
SOXLがベンチマークしているICE半導体指数について、説明します。
ICE半導体指数は米国に上場している半導体企業のうち、上位30社のパフォーマンスを追跡する指数です。



半導体業界に絞りつつ、更に厳選された30社に投資できるのね!
2021年8月末にSOXLのベンチマーク先がSOX指数からICE半導体指数に変更されました。
SOX指数とICE半導体指数はどちらも米国に上場している半導体企業の上位30社を追跡する指数ですが、30社の構成比率の算出方法が違います。
ICE半導体指数は浮動株率を考慮した浮動株調整後時価総額加重方式に対し、SOX指数は浮動株率を考慮していない時価総額加重方式となっています。



浮動株とは何か説明します。
浮動株とは…
発行されている株式の中で、安定した株主に保有されておらず、市場に流通する可能性の高い株式のことをいいます。この「市場に流通する可能性の高い株式」とは、一般の投資家などが市場で日々売買する株式のことを指します。
引用元:初めてでもわかりやすい用語集 SMBC日興証券



ICE半導体指数とSOX指数は米国の半導体株TOP30社に投資している点は一緒です。



細かな算出方法は違うけれど、厳選された半導体業界に投資できるということだね!
レバレッジとは?
SOXLはレバレッジ比率3倍のレバレッジ型ETFです。
SOXLを運用しているDirexion社のHPにも「1日のベンチマーク・インデックスのリターンの300%のリターンを求めています。」と説明されています。



ICE半導体指数が1日で+2%のリターンの場合、SOXLは3倍の+6%のリターンになります。



ICE半導体指数の3倍の利益/損益が出るということ?



1日で見れば3倍のパフォーマンスになりますが、期間が長くなれば3倍以下の成果になります。
実際に見ていきましょう。


参考HP:Google Finance



レバレッジがパフォーマンスにどう影響を与えるのか見るために、SOXLとSOXXを比較していきます。
上のチャートは、2017年3月から2022年3月までの5年間のSOXLとSOXXの比較チャートになります。
SOXXはICE半導体指数をベンチマークしている点はSOXLと同じですが、SOXXはレバレッジ型のETFではありません。



5年間でSOXLは+497.08%に対し、SOXXは+218.62%のパフォーマンスとなっています。



レバレッジ3倍なのにパフォーマンスの差は2.27倍差なんですね。



切り取る期間によって、パフォーマンスの差は変動します。
どのみち、レバレッジ比率が3倍だと、上下の振れ幅が大きくなります。
SOXLの構成銘柄





SOXLがどんな企業に投資しているのか気になってきました!



ICE半導体指数の構成銘柄を見るために、SOXXの構成銘柄を見ていきます。


参考:ishares.com/us
構成銘柄の概要
- 構成銘柄は30社
- 上位10社の比率は60%
- 上位5社はBroadcom、AMD、クアルコム、エヌビディア、インテル



インテルは知っているけれど、他の企業のことは知らないかも。。。



半導体は通信機器、パソコン、スマホ、データセンター、電気自動車などに欠かせない部品です。
各分野において高いシェアを誇っている企業たちです。
30社全ての企業名と構成比を知りたい方はご参照ください。
銘柄CD | 企業名 | 構成比(%) |
---|---|---|
AVGO | BROADCOM INC | 10.1 |
AMD | ADVANCED MICRO DEVICES INC | 8.4 |
QCOM | QUALCOMM INC | 8.1 |
NVDA | NVIDIA CORP | 6.6 |
INTC | INTEL CORPORATION CORP | 6.4 |
MRVL | MARVELL TECHNOLOGY INC | 4.3 |
MU | MICRON TECHNOLOGY INC | 4.3 |
TXN | TEXAS INSTRUMENT INC | 4.3 |
AMAT | APPLIED MATERIAL INC | 4 |
TSM | TAIWAN SEMICONDUCTOR MANUFACTURING | 4 |
ADI | ANALOG DEVICES INC | 4 |
NXPI | NXP SEMICONDUCTORS NV | 3.8 |
KLAC | KLA CORP | 3.8 |
MCHP | MICROCHIP TECHNOLOGY INC | 3.8 |
LRCX | LAM RESEARCH CORP | 3.5 |
ASML | ASML HOLDING ADR REPRESENTING NV | 3.4 |
ON | ON SEMICONDUCTOR CORP | 2.4 |
SWKS | SKYWORKS SOLUTIONS INC | 2.2 |
TER | TERADYNE INC | 1.8 |
MPWR | MONOLITHIC POWER SYSTEMS INC | 1.8 |
ENTG | ENTEGRIS INC | 1.7 |
QRVO | QORVO INC | 1.4 |
STM | STMICROELECTRONICS ADR NV | 1.2 |
WOLF | WOLFSPEED INC | 1.1 |
MKSI | MKS INSTRUMENTS INC | 0.8 |
LSCC | LATTICE SEMICONDUCTOR CORP | 0.8 |
UMC | UNITED MICRO ELECTRONICS ADR REP | 0.8 |
OLED | UNIVERSAL DISPLAY CORP | 0.7 |
ASX | ASE TECHNOLOGY HOLDING ADR REPRESE | 0.5 |
SYNA | SYNAPTICS INC | 0.3 |
参考:ishares.com/us
SOXLのセクター比率
セクター名 | 構成比(%) |
---|---|
半導体 | 79.48 |
半導体装置 | 20.52 |
参考:Direxion社HP
半導体セクターは「半導体そのもの」を製造/販売している企業と、「半導体装置」を製造/販売している企業に分けられます。
半導体装置の売上高トップ企業はアプライドマテリアルズ(AMAT)であり、構成銘柄の中でも11番目に位置する企業です。



より高性能、より小型の半導体を作るためには、新しい半導体装置が必要なのです。



スマホやパソコンの処理速度が上がったり、小型化している裏には半導体装置企業の頑張りがあるんですね!
SOXLのチャート推移





SOXLについて詳しくなってきたところで、パフォーマンスが気になってきました!



SOXLのチャート推移を見ていきましょう。
チャート推移:1年間(2021/03~2022/03)


参考:Yahoo! Finance USA



残念ながら直近1年間のパフォーマンスは…
マイナス8.17%です。



2021年12月までは2倍以上のパフォーマンスだったのに。
2022年1月から3月で57%も下落してしまったんだ。



2022年1月の量的緩和政策の縮小、インフレ率の高騰。
2022年2月のロシア/ウクライナ情勢の緊迫。
これらにより世界同時株安が発生し、SOXLは大きく下落しています。
直近5年チャート推移:5年間(2017/03~2022/03)


参考:Yahoo! Finance USA



では、直近5年間のチャートを見ていきましょう。
5年前からは+497%と約6倍へと大きく成長しています。



2022年1月から57%下落しているけれど、
5年前と比較すると大きく伸びているんですね。



3倍レバレッジの値動きの激しさがよく分かりますね。
SOXLのメリット・デメリット





レバレッジのことや、構成銘柄、過去のチャートを見てきたけど、特徴をまとめてほしいな~。



はい!今までの説明を踏まえて、メリットとデメリットに分けてみましょう。
SOXLのメリット
- 成長性が高い半導体セクターに集中投資が可能
- 1つのETFで米国に上場しているTOP30社に投資が可能
- レバレッジ3倍により高い利益額を得られるチャンスがある





半導体セクターの成長性を魅力的だと感じる人であれば、投資機会を検討してみてください。



パソコンやスマホだけではなく、電気自動車やAIにも半導体は欠かせないのは、たしかに魅力的だな~。



レバレッジ3倍の値動きに耐えられる人はSOXL、耐えられそうにないけれども半導体に興味がある人はSOXXがおすすめです。
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SOXLのデメリット
- 値動きが激しく、資産を著しく損なうリスクがある
- 半導体セクターへの集中投資になり、変動リスクが高くなる
- 経費率が高いため、維持費が高い



なるほど…魅力的なSOXLにもデメリットがあるんですね!



「単一セクター」×「レバレッジ3倍」のため、高い変動率が伴います。


参考:Google Finance
SOXL(半導体3倍ブル)とSPXL(S&P500 3倍ブル)とVOO(S&P500 1倍)の2022年1月からのチャートになります。
パフォーマンスはSOXLが-57.43%に対し、SPXLは-34.11%、VOOは-12.09%と、SOXLが最も損益が大きいです。



これはSOXLが単一セクターに3倍レバレッジをかけているのに対し、VOOはレバレッジをかけずに全セクターに分散投資を行っていることが原因です。



ひとつのセクターに限定することと、レバレッジをかけることはリスクが高いんですね。



ハイ。半導体セクターが伸びる局面ではとても高いパフォーマンスを得られますが、逆もしかりということです。
SOXLを組み込んだ投資法





SOXLの良い面、悪い面を理解できたけど、具体的にどう投資したらいいのでしょうか?



ここでは投資法の一例を考えてみます。
コアサテライト戦略





SOXLには興味があるけど、リスクが怖くて投資するのも気が引けるな~



何もSOXLに全力投資をしなくても大丈夫です。
S&P500や全米株式といったETFと一緒に投資すれば、比較的リスクを軽減できます。
投資法の一例として、コアサテライト戦略をご説明します。
コアサテライト戦略とは、自分の投資資金をコア(核)とサテライト(衛星)に分けて考える投資戦略です。
例えば、比較的値動きが緩やかな全米株式(VTI)を多めに投資し、リスクが激しいSOXLは少なめに投資します。
そうすることで、資産全体としてはVTIの値動きに影響を受けるため、SOXLが半分になったとしても資産全体は大きく下落することはありません。



僕はメンタルが弱く、不安になりそうだからVTIを80%、SOXLを20%で持っておこうかな。



必ずしもSOXLに投資する必要はないので、自分のリスク許容度を考えてみましょう。


RSIを参考に売買を行う


参考:https://jp.tradingview.com
SOXLは変動率が高いETFのため、「高値で投資したけれど、そこから急落してしまった」という局面は避けたいです。



売買のタイミングを感覚ではなく、RSIの値をもとにを決めておくのも一つの投資法です。
例えば、RSI70で売る。RSI30で買う。といった方法です。



買うタイミングと売るタイミングを機械的に決めておくということですね!
RSIは一定期間における買われすぎ、売られすぎを数値化するインジケーターです。
RSIが100に近づけば買われすぎ、0に近づけば売られすぎを表します。
短期/中期的には売買を繰り返したい人にはオススメです。



事前に決めておいたとしても、ルール通りに売買できるのか不安だな~。



「RSI70超えたら全額売る」といった極端な考え方は必要ありません。
「RSI70超えたら4分の1だけ売る」といった部分的な売却でも良いと思います。
SOXLよくある質問
- SOXLって何?
-
米国に上場している半導体企業30社に投資するETFです。
3倍レバレッジをかけているため、高いボラティリティ(変動率)が伴います。
- 半導体セクターにレバレッジをかけたくない場合は?
-
SOXX(iシェアーズ半導体ETF)をオススメします。
SOXLとSOXXは共にICE半導体指数をベンチマークしています。
- SOXLは配当金をもらえる?
-
SOXLも配当金をもらえます。
2022年3月現在、配当利回りは0.04%です。
ただし、経費率が0.95%あるため、配当狙いの投資はオススメできません。
- SOXLは今後、急上昇する?
-
SOXLが伸びるかどうかは断言できません。
ICE半導体指数に含まれる企業の業績は好調です。
- SOXLは日本でも投資できる?
-
SBI証券、楽天証券といった大手ネット証券でも取り扱いがあります。
SOXLのまとめ
記事の結論
- SOXLは成長性が高い半導体セクターに集中投資できるETF
- SOXLは3倍レバレッジのため、値動きが激しいETF
- SOXLは他のETFと合わせて投資することをオススメします。
SOXLは過去5年間では約6倍と高いパフォーマンスのETFです。
高いパフォーマンスの背景には、「半導体セクターに集中投資」「3倍レバレッジ」というETFの特性があります。
2021年1月~2022年3月の間、約60%の下落をするように、急落するリスクも伴います。
自身のリスク許容度を過信することなく、徐々に保有比率のバランスを取っていくことをおすすめします。
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